天国のドア

天国のドア

純愛3部作を完結させたユーミンは、これまでも興味の対象であったスピリチュアルな世界観や社会問題、大人の性愛をも新たな創作のテーマとして掲げた。とはいえ、直接的な言葉でそれらを伝えるのではなく、独特のメタファーで、聴き手それぞれに自由な解釈を与えられるように仕上げている。さまざまなエクスタシーについて書かれたと思しき"天国のドア"には、直喩的表現を用いることなく、アッパーなポップチューンの中に丁寧にイメージをトレースしてみせた。かつて麗美やナンシー・ウィルソンに提供した楽曲のセルフカバー"残暑"は、当時、干拓事業が始まった有明海の美しかった干潟をイメージしたノスタルジックな名曲。女性ニュースキャスターの忙しい日常から、大きく変わりゆく世界を描いた"MISS BROADCAST"など、シリアスな社会問題さえもユーミンらしい深い洞察力と創造力でまとめ上げ、本作は当時のアルバム売上の新記録を更新した。

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