ハードワーキングなK-Popの世界においても、IZ*ONEは常に颯爽（さっそう）としたイメージを保っている。もし天空の女神たちが地球に降りてくることがあれば、きっと彼女たちのような姿をしているのではないだろうか。韓国人と日本人の12人のメンバーから成るIZ*ONEは、パーフェクトなダンスポップと神聖なイメージを組み合わせたガールズグループだ。コンセプトとして使われる花々をはじめ、パステルカラーやクリスタルといったビジュアル、雲の上に座るメンバーたちや品のよいダンスシーンがなければ、それはIZ*ONEのミュージックビデオとはいえない。緻密に計算された説得力のある甘さは、透明感のあるソプラノボイスや、オルゴールのような美しいメロディを含む、すべてに通底していて、デビュー曲「La Vie en Rose」（エディット・ピアフの名曲とは無関係）でもはっきりと示されている。「Violeta」のような遊び心あふれるダンスソングでさえ、ダンスフロアの喧騒からは少し浮いているように思える。IZ*ONEは2018年に韓国の音楽専門チャンネルMnetのオーディション番組『Produce 48』から誕生し、新進気鋭のSWING ENTERTAINMENTによるマネージメントが功を奏して、たちまち人気を集めた。ファーストEP『COLOR*IZ』のヒットに後押しされて、2018年にMnetが主催したAsian Music Awardsでは最優秀新人賞を受賞。そして2019年にはシングル「好きと言わせたい」で日本デビューを果たし、同時に2か国のシーンを制覇した。韓国語と日本語によるダンスポップがカラーのEPを次々と発表した後、2020年には韓国で初のフルアルバム『BLOOM*IZ』をリリース。エネルギッシュなシングル「FIESTA」などが収録された。同年6月のEP『幻想日記』では、元気なディスコサウンド（「Merry-Go-Round」）や優美なポップソング（「幻想童話 (Secret Story of the Swan)」）などを通して、グループの神秘的な雰囲気をキープすることに成功している。